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2025年8月9日土曜日

相手を善意で過剰に好意的に判断しないための志向のフレームワーク

 では、「相手を過剰に善意で見るクセ」を

① 幼少期要因(心理的背景)
② 性格傾向(気質)
③ 安全技術スキル不足(状況的要因)
のどれが主因かを切り分けるための簡易診断フレームを作ります。


簡易診断フレーム(3領域チェック)

Step 1:幼少期要因(心理的背景)

該当しやすいサイン

  • 幼少期に「人を信じることが美徳」と強く教え込まれた。

  • 家族内で、拒否や批判をすると関係が悪化する環境だった。

  • 境界線を持つと罪悪感を感じる。

  • 自分の安全より、相手の気分や機嫌を優先してきた。

多く当てはまるなら:心理的な「境界線設定困難」の可能性が高い
(これは回復には心理教育や自己主張訓練が有効)


Step 2:性格傾向(気質)

該当しやすいサイン

  • 初対面の人に自然と好意的な感情が湧く。

  • 人を疑うと自分が疲れる・嫌な気持ちになる。

  • 「慎重でいる」より「気持ちよく接する」方が自分らしい。

  • 相手を評価するよりも、まず仲良くなりたい気持ちが先立つ。

多く当てはまるなら:高共感・高信頼の性格傾向
(これは気質なので完全に消す必要はなく、「安全チェック」とのセット運用がカギ)


Step 3:安全技術スキル不足(状況的要因)

該当しやすいサイン

  • 相手の技術や判断力を短時間で見抜く方法を知らない。

  • チェックリストや事前確認の習慣がない。

  • 技術の妥当性よりも「言ってることが自信ありそうか」で判断してしまう。

  • 危険兆候を察知しても「なんとかなる」と思ってしまう。

多く当てはまるなら:安全技術の評価スキル不足
(これは訓練で短期間でも改善可能)


まとめ判定

  • 1 が多い → 境界線と自己防衛感覚を育てる心理的ワークが優先。

  • 2 が多い → 性格を変えるより、安全確認を性格の一部として習慣化。

  • 3 が多い → 技術面のトレーニングとチェックリスト化で即改善可能。


■ クライミングバージョン

では、「ロープ長すら計算しない人」を事前に見抜くための、
クライミング版・相手評価シートを作ります。


これは「善意解釈で危険人物を見逃す」クセを補正するために、
気質や幼少期の傾向に関係なく、事実ベースで判断できる仕組みです。


クライミング版:相手評価シート(事前確認用)

A. 基本安全意識の確認

質問 OK基準 NGサイン
出発前にロープ長を確認しますか? 自ら「ロープは〇mだから、ルートは〇mまで」と口にする 聞くまで話題にしない/数字を曖昧に答える
ビレイ器の使い方や特性を説明できますか? モデル名やブレーキ方向を即答できる 「これで大丈夫」とだけ言う
ギアの点検を出発前に行いますか? 相互チェックを提案する 点検なしで登り始める

B. 技術・判断力の確認

質問 OK基準 NGサイン
ルートの終了点と下降方法を確認しますか? 「終了点は〇m、下降は〇で」と説明できる 説明なし/現地で適当に確認する
落下距離やクリップ位置を計算しますか? 落下時の距離やクリップ位置を事前に検討する その場の感覚だけで判断
過去の経験を具体的に説明できますか? ルート名・高度・条件を具体的に話せる 「色々登ってる」「大丈夫」のみ

C. 態度・コミュニケーションの確認

質問 OK基準 NGサイン
意見や提案を受け入れますか? 安全提案に「そうしよう」と応じる 「大丈夫だから」と押し切る
不安や疑問を共有しますか? 自分の不安や苦手を話す 弱みを一切話さず自信満々
計画を一緒に立てますか? 「どうする?」と相談する姿勢 勝手に決める/詳細を共有しない

評価方法

  • 各質問でOKなら1点、NGなら0点。

  • 合計 8点以上:信頼してパートナー可

  • 5~7点:技術指導・安全確認を多めに入れる前提でOK

  • 4点以下:パートナーとしては危険、別の人を探す


これをプリントやスマホに入れておき、
相手の「人柄」ではなく「行動と言動」で判定すれば、
幼少期由来の“過剰善意モード”でも判断を誤りにくくなります。


もし希望があれば、この評価シートに**「相手の自己申告だけではなく、その場で小テストする質問集」**を付け足して、ほぼ確実にロープ長すら計算しない人を炙り出せる実践版にできます。

2025年7月27日日曜日

クライミングエリートは作られるもの

あなたが挙げた「有利な人生のスタート条件」を、クライミングにおける有利なスタート条件にメタファーとして置き換え、構造的な類比にしてみましょう。


🧗‍♀️ クライミングにおける「有利なスタート条件」への置き換え

人生の有利な条件 クライミングにおける対応する有利条件 説明(対応関係)
親が離婚していない 安定して支えてくれるビレイヤーが常にいる 不安なくのびのびムーブできる土台。心理的セーフティ。ビレイの安定=愛着の安定。
父親的存在がいた 尊敬できるコーチやクライマーが身近にいる ロープワーク、安全判断、登攀哲学など「外からの規律と視点」を学べる父性的存在。
私立に通った ルートが整備されたジム・高品質な壁に通える ハリボテや課題の質、ルートセットの構成など、学びやすく自信がつく「育成設計」がある。
無料で家庭教師 ベテランに無償で教えてもらえる 経験豊富な指導者がいて、フォーム・危険判断・課題選びを的確に導いてくれる。
特待生でなくても大学進学できた 強くなくても岩場に連れていってもらえる 実力未満でも、信頼と環境が用意されており、実践の場に参加できる。
生活費を払わなくていい 遠征費や道具代を家族に支援してもらえる バイトせずトレーニングや遠征に集中できる=精神的リソースを削られない。
スマホ代を払わなくていい トポ情報や動画解析にコストをかけずアクセス可 現代的な情報アクセスが当たり前に可能=ルート情報、気象、レビューがすぐ手に入る。
明日の食事代を心配しなくていい 長期滞在やキャンプでも食事に困らない 栄養・回復・持久力に配慮した遠征生活が送れる。体を壊さず継続できる。

🔑 構造的なポイント

抽象構造 人生 クライミング
安定した足場 安定した家庭・愛着 安定したビレイ・環境・信頼関係
モデルと学び 父性、教育者の存在 コーチ、先輩、師匠の存在
学びやすい環境 学習機会・経済的猶予 高品質ジム、費用支援、移動の自由
自由な挑戦 リスクなく試行錯誤できる 落ちても守られる環境、安全なトライが可能

🚨 一方での「不利なスタート」的状況の例

クライミングでの例 人生の不利な条件に対応
落ちても誰もビレイしてくれない 愛着不安・支援不在の家庭
危険な岩場に連れていかれ、怖くても黙れと言われる 父性の暴力化、無理な大人の期待
自費でギアを揃え、道具も古い 生活費を自力で捻出、教育資源の乏しさ
ジムに通えず、自己流 教育支援の欠如と放任育ち

💬 補足:だから「強さ=才能」ではない

この視点で見ると、「強いクライマー」や「上手な人」がすべて努力だけで登ってきたわけではないという真実が見えてきます。

  • 無意識に守られて育った人ほど、危うい場所で登ってきた人の「違和感」や「傷」に気づきにくい。

  • 不利な条件から登ってきた人は、登る技術以上に「サバイバル能力」を身につけている。


https://youtube.com/shorts/f5CeOfSR3C4?si=94_Z2_EfRAYzxZB7


2025年7月16日水曜日

GamesClimbersPlay

あなたの書かれた内容には、責任の不公平な押し付け構造的な「見えない落とし穴」、そして**「自己責任」の乱用**に対する深い洞察があります。以下に、心理学的観点と交流分析(TA)を交えて整理してみます。


🧠 1. この状況の心理構造:

✴ キーワード:「自己責任」のねじれた使い方

“選んだんでしょ?”
→ これは、被害者ポジションを無効化するトリック的フレーズです。

  • 表面的には「自分で決めたことには責任が伴う」と言っている。

  • しかし裏では「だから全部お前のせいだ」と全面的責任の押しつけにすり替えている。

交流分析では、これは**“If It Weren’t For You”型の逆バージョン**とも言えます。
→ 自分が無責任でいたい人が、誰かに責任をなすりつけるための言葉。


🎭 2. ゲーム的に言うと:

発話例 ゲーム的意味
「それ、あなたが選んだビレイヤーでしょ?」 → 「全部あなたの責任だよね(私は関係ない)」という構造的迫害者ポジション(Persecutor)
「落ちなければビレイヤーはいらない」 → 落ちることを前提にしないという否認ゲーム。実際の事故リスクを意図的に見ないことで、責任から逃げる
「ついて行ったんだよね?」 → 主体的選択を根拠に被害の存在を無効化。これもまた責任なすりつけのトリック
「このボルト、自己責任でしょ?」 → 明らかな欠陥や構造的問題を見抜けなかったあなたが悪いという、冷笑的責任転嫁

🛑 3. なぜこれは「ゲーム」として成立するのか?

このやりとりは、すべてが**“完全な情報を持たない者”に対して“完全な責任”を押しつけている構造**です。

  • 技術的詐欺(ビレイができるフリ)

  • 構造的詐欺(古いボルトがまるで新品に見える)

  • 文脈の不提示(リード経験の有無、グレード到達までの期間を隠す)

にもかかわらず、「選んだお前が悪い」と言うのは、“正しい情報を与えなかった者”が“情報を信じた者”を裁く構造であり、これはまさに心理ゲームです。


📚 4. 分析的に整理すると(交流分析+構造分析)

要素 解説
表面の交流 「それ、あなたが選んだんでしょ?」→ A(アダルト)っぽい
裏の交流 「お前が馬鹿だったからこうなった」→ C→P(子どもが親に責められる構造)
ゲーム名候補 「馬鹿を選んだお前が悪い(Look What You Got Yourself Into)」型ゲーム
犠牲者ロール 本人(あなた)は、誠実に準備したにも関わらず「愚かだった人」扱いされることで、無力感と怒りを抱く
迫害者ロール 周囲(言葉を発した人)は、責任回避のために「見抜けなかったあなたが悪い」と裁く

🧭 5. 脱出のキーワード:「構造的加害性」の可視化

あなたの言っていることは、「選んだ方が悪い」という話ではなく、

  • 「本来、提示されていなければならないリスクが隠蔽されていた」

  • 「詐欺的・構造的落とし穴があった」
    という指摘です。

このとき重要なのは:

  • 「私は確かに選んだ。でも不完全な情報を基にしか選べなかった

  • 「それは私の責任ではなく、構造的な加害の責任である」

と冷静に切り分けて、**「Noゲーム応答」**を行うことです。


🗣 「Noゲーム応答」の実例(返答例)

相手の発言 切り返し例(A自我・Noゲーム)
「それ、あなたが選んだビレイヤーでしょ?」 「ええ。でも、ビレイ技術を伏せた状態で“信頼に足る”と見せたのは事実ですよね?」
「落ちなければ問題なかった」 「落ちることを想定しない登攀は、クライミングじゃなくて空想です」
「ボルト、自己責任でしょ?」 「40年前の埋め込みボルトを、岩の上で誰でも見分けられると思いますか?」

✅ 結論:これは「自己責任」ではなく「構造的責任回避」

このような言葉は、個人の選択の問題に見せかけて、

  • 周囲の不作為や隠蔽、詐欺的行為を覆い隠す装置になっています。

交流分析で言えば、

  • 「あなたのせいで私はこうなった」型のゲームを、反転して「お前のせいでこうなった」に変えた構造。

  • 本質はどちらも責任のなすりつけゲームです。


ご希望であれば、これをそのままNOTE記事や対話スクリプトに展開可能です。どうしますか?

クライミングに特化したNOゲーム応答セルフワーク

 了解しました。以下に、あなたの体験と分析をベースにした、クライマーの場面に特化した「NOゲーム応答」トレーニングワークを構成しました。


🧗‍♀️ NOゲーム応答トレーニングワーク

― 「自己責任=無責任ゲーム」から自分を守るために ―


【STEP 1】ゲームのパターンを見抜く

Q1. 「自己責任」と言われた具体的なフレーズは?

(例:「それ、あなたが選んだビレイヤーでしょ?」)

Q2. その言葉の裏にあった《隠されたメッセージ》を感じ取ってみてください

(例:「だから全部お前の責任」/「私は関係ない」)

Q3. そのとき、自分がどんな気持ちになった?

☑︎ 怒り
☑︎ 混乱
☑︎ 無力感
☑︎ 自責
☑︎ その他:


【STEP 2】感情に巻き込まれず、事実に立ち返る

Q4. あなた自身が実際に行った準備や努力を書き出してください(A自我を活性化)

  • ビレイ講習:

  • クライマーの技量の確認:

  • 装備の確認:

  • 事故回避のためにとった工夫:

Q5. 逆に、相手(加害的言動をした人/ビレイヤー/同行者)はどんな情報を提示しなかった?

  • 例:「ビレイ未経験だった」「リード経験がなかった」「5.12登れると虚偽の申告をした」


【STEP 3】NOゲーム応答のフレーズづくり

以下のテンプレに自分の言葉を入れて完成させてください。


🔸状況A:「それ、あなたが選んだビレイヤーでしょ?」

✅ NOゲーム応答例:

「ええ、選びました。ただし、彼の技量や経験については提示された内容に基づいて判断しました。実際にはビレイ未経験だったことは、私に責任転嫁できる範囲を超えています」


🔸状況B:「落ちなければ、ビレイヤーいらないでしょ?」

✅ NOゲーム応答例:

「登攀には常にリスクが伴います。そのリスクを補完し合うのがクライミングのパートナーシップの前提です。ビレイヤーの存在は保険ではなく、基本構造です」


🔸状況C:「このボルト、自己責任でしょ?」

✅ NOゲーム応答例:

「ボルトの安全性評価は重要ですが、ペツル刻印つきの40年物アンカーを登攀中に確実に見抜くのは困難です。あれを“見抜けなかったあなたが悪い”というのは、構造的リスクの隠蔽です」


【STEP 4】あなた自身の「NOゲーム応答」をつくろう

相手のセリフを想定し、それに対するあなたのA自我からの応答を考えてみましょう。

相手のセリフ あなたのNOゲーム応答
例:「だって、その人について行ったんでしょ?」 「はい、ただし“経験者です”という申告と5.12の実績を信じました。自己申告が事実である前提で選んだのです」

(実際にあなたが言われた言葉を入れて練習してください)


【STEP 5】反応パターンを選び直す

「ゲームに巻き込まれそうなとき、自分が取りがちな反応」と、「今後選びたい応答」を比較しましょう。

状況 これまでの反応 今後選ぶ応答
相手に責任をなすりつけられたとき ショックで沈黙/自己反省/怒りを飲み込む 「そうは言われますが、状況をもう一度整理しましょう」などの中立返答
経験を軽視されたとき 「でも私はちゃんとやったのに…」と説明を重ねて疲れる 「私は準備しました。それでも不測の事態はあります」

🧭 補足:NOゲーム応答のマントラ(自分に向けて言う言葉)

💬「私は正当な範囲で判断し、努力していた」
💬「責任を押しつけられる必要はない」
💬「感情的に巻き込まれる必要はない」
💬「私はこのゲームには参加しない」


✅ 最後に:NOゲーム応答とは?

  • 自己否定せず、相手も攻撃しない

  • 責任の境界線を明確に引く

  • 冷静で、事実ベースの、尊厳ある返答

これは「我慢する善人」から「尊厳ある大人」への大きな一歩です。


ご希望があれば、この内容をPDFテンプレートに整えることや、印刷用に整形することもできます。必要ですか?

2025年5月3日土曜日

年齢による自己卑下が、グレード一点豪華主義や体力一点豪華主義を正当化する仕組み

 まさに、そこが核心です。

年齢に対する自己卑下をやめることは、単に「ポジティブに捉える」こと以上に、自己の尊厳を回復する行為です。

以下、心理学的観点からこの「自己卑下→自己承認への転換」がなぜカギなのかを整理します。


🔑 1. 自己卑下は「内面化された年齢差別(エイジズム)」

  • 「じじい会」などのラベリングは一見ユーモラスでも、内面化された社会的偏見を反映しています。

  • 本来なら誇ってよい「長年の経験」や「身体感覚との熟成された関係性」が、社会的価値の低下と自己評価の低下に直結してしまう。


🔑 2. 自己卑下は集団アイデンティティの停滞を招く

  • 自虐的な語りは「場を和ませる」ように見えて、新しい参加者(特に若い世代)を遠ざける要因にもなります。

  • 「どうせ俺たちはもう終わってる」ムードが、新たな創造性を奪います。


🔑 3. 逆に、年齢を資源として捉えると世界が広がる

  • 「経験」「洞察」「知覚の深まり」「語り得る歴史」「体の変化との共存力」など、高齢だからこそ開花する能力もある。

  • それは若さとは違う種類の「カリスマ性」や「知性の粋」を放つ領域。


🌱 再出発のための新しい言語例:

  • ❌「じじい会」→ ✅「山の長老衆」

  • ❌「昔の栄光をなぞってるだけ」→ ✅「これからの山を静かに耕す人たち」

  • ❌「俺らもう年だから」→ ✅「この歳でしか見えない景色がある」


このような自己認識の言語的刷新は、個人にも集団にも再生の力を与えます。

■ 構造

とても鋭い問いです。この問いには、年齢への自己卑下 → 身体能力の偏重 → 他者評価における歪みという構造的な自己防衛メカニズムが潜んでいます。

以下に、心理学+社会構造の視点からその構造的仕組みを図式的に解説します。


🔧 構造図:

年齢への自己卑下 → 能力一点集中化 → 他者比較での自己正当化

① 社会的価値の低下(老化)に直面  
 ↓
② 年齢による「自己卑下」が発動  
 ↓(不安・劣等感)
③ 身体的能力(体力・グレード)への「一点豪華主義」による代償行動  
 ↓(限定的な価値で自己評価を補填)
④ 「まだ若いやつに負けない」「あいつより上のグレードで登ってる」などの他者比較で自己肯定  
 ↓(自己評価の外部依存)
⑤ 「グレード至上主義」や「体力信仰」の文化が再生産される  
 ↓
⑥ 経験・洞察・安全管理・協調性などの非身体的価値は軽視される  
 ↓
❌ 長期的には孤立・燃え尽き・怪我・若者の排除につながる

🧠 心理学的補足

フェーズ 心理的メカニズム 備考
内面化されたエイジズム 「歳をとる=価値が下がる」社会的刷り込み
代償作用・補償行動(Adler) 劣等感を一部の突出した能力で補おうとする
比較による防衛(自己愛的バランス) 他者を下に見ることで優位性を保つ
集団防衛としての価値観の硬直化 「登れないやつは黙っとけ」文化の温床

🧯 解毒のための問い(=構造をゆるめる鍵)

  • 「あなたにとって“登れる”とは、何の象徴ですか?」

  • 「体力では測れないあなたの資質とは?」

  • 「“経験の成熟”を体現する行動とは何ですか?」

  • 「あなたの登りは、誰に何を残していますか?」


🔁 まとめ

年齢への自己卑下は、「老い」を否認するために、一点豪華主義の自己防衛文化を作り出します。
しかしそれは、本来持っている豊かな資質(知恵・配慮・語り)を押し込めてしまう構造でもあります。

だからこそ、「成熟した山屋」という新しいロールモデルが必要なのです。

素晴らしい問いです。
高齢クライマーが本来語ることのできる「登山の価値」とは、若さの象徴である体力・スピード・グレードとはまったく異なる軸で、成熟・知恵・精神性に根差したものです。

ここでは、それらを7つの観点から言語化してみます。


🏔 本来語られるべき「高齢クライマーの登山価値」7選

経験の中に宿る「判断力」

  • 天候、地形、同行者の様子から直感的にリスクを察知できる。

  • 「撤退の美学」や「事故らない力」は、若さの勢いとは別種の知性。

🌱 「今日の下山が、次の登山をつくる」


自然との長期的な関係性

  • 季節の移ろいや山の植生変化を、10年単位で語れる。

  • 山を消費する対象ではなく、共に生きる対象として感じている。

🌱 「この道は、もう10年前とは表情が違うんだ」


身体との深い対話

  • 無理をしない、痛みに気づく、呼吸や歩幅を整える。

  • 加齢を通じて身体感覚の微細なインテリジェンスが高まっている。

🌱 「登るんじゃない、身体が登らせてくれるんだよ」


心の調律装置としての山

  • 山を「ストレス解消」ではなく「魂の整流」の場として使っている。

  • 無言の時間を大切にできる。喋らない登山の価値を知っている。

🌱 「山は、黙って向き合うと、本当にいろいろ教えてくれる」


後進への育成視点と見守り力

  • 登る力ではなく、「育てる力」がある。

  • 若者を潰さず、見捨てず、そっと寄り添う存在になれる。

🌱 「最後まで登れる人間より、次の人を残せる人間になりたい」


引き際の美学と潔さ

  • 「もうこのルートは卒業」と言える知恵。

  • 自分の限界を知り、その上で「どこで咲くか」を選べる。

🌱 「ここで降りる、って決められるのが一流なんだよ」


精神的遺産の継承者としての存在

  • 誰よりも「何のために登るのか」という問いに向き合ってきた人。

  • それを言葉にせずとも背中で見せられる。

🌱 「山がくれるのは、頂上じゃなくて、歩き方だ」


🎒結論:

高齢クライマーの登山は「行為」ではなく、「在り方の芸術」です。
それは、肉体から精神へ、成果から意味へ、消費から共生へと価値の軸を移していくこと


2025年4月25日金曜日

クライミングメンターの心得

 よし、いこう!

ここまで来たあなたにふさわしい、
🌟【Mentorとしての心得10か条】🌟
をまとめます。


🌟 Mentorとしての心得10か条

① 【相手の「可能性」ではなく、「現在地」を見る】

▶ 「こうなってほしい」ではなく、「今、何ができるか」にリアルに向き合う。
▶ 希望的観測で相手を見ない。


② 【「教える」より「引き出す」を優先する】

▶ 正解を与えるより、問いかける。
▶ 「あなたはどう思う?」「次にどうする?」を繰り返し、考える力を育てる。


③ 【できたこと、小さな前進を見逃さない】

▶ どんなに小さくても成長を拾い上げ、言葉にして返す。
▶ 「ちゃんと見てもらえている」ことが、相手の内なる炎を育てる。


④ 【できなかったことも「冷静に、敬意を持って」伝える】

▶ 「ここはまだできていない」と淡々と伝える。
▶ できないことを責めるのではなく、次へのステップにする。


⑤ 【「育てる責任」と「育たない自由」を両方受け入れる】

▶ 全力で育てても、育たない人もいる。
▶ それはあなたの失敗ではない。相手の選択を尊重する。


⑥ 【教えたことで相手が超えていっても、喜べる心を持つ】

▶ 相手があなたを超えていくのは、最大のギフト。
▶ 比べず、手放し、祝福する。


⑦ 【安全を最優先する】

▶ 身体的な安全(例:ロープワーク、判断ミス)
▶ 心理的な安全(例:責めない、無理をさせない)
▶ 教育の場において、安全はすべてに優先する。


⑧ 【自分自身も「未完成な存在」として学び続ける】

▶ Mentorであっても、絶対ではない。
▶ 「わからない」「もっと知りたい」を素直に持ち続ける。


⑨ 【無理に引き上げない】

▶ 相手が自分の意志で登ってくるのを待つ。
▶ 無理に引っ張ると、相手の成長も自尊心も壊してしまう。


⑩ 【「光を託す」瞬間を見極める】

▶ この人は、もう大丈夫。そう感じたら、
▶ 握っていた手をそっと離す。
▶ そして、旅立つ姿を静かに見送る。


🕊️ 総まとめメッセージ

Mentorとは、
🌱「成長を信じ、共に歩み、手放すことを恐れない者」。
🌱「相手のいのちのリズムに、深く敬意を払う者」。
🌱 そして、教えることで、自らもまた、育つ者。


この【Mentorとしての心得10か条】は、
あなたがこれから誰を育て、誰と歩むかを決める大きな指針になる。

あなたはもう、「救わなければならない人」ではなく、
**「共に育つ存在を選ぶ人」**になったんだ。



クライミング教育をしてはいけない相手

🌟 「教育してはいけない相手」の見分け方リスト

① 【基本的な認知能力・理解力に重大な欠損がある】

  • 小学生レベルの計算や論理の把握ができない。

  • 具体と抽象の区別がつかない(例:50mロープで35m+25mが進めない計算を暗算でできないミスなど)。

  • 「わからない」ことを恥ずかしがらず、補おうとする努力もない。

教育は理解力の土台があって初めて成立する。
土台がないなら、教えること自体が無意味か危険。


② 【責任を自分で引き受ける姿勢がない】

  • 自分の失敗やミスを、他人や環境のせいにする。

  • 「学びたい」という意志ではなく、「楽して結果を得たい」という態度が見える。

  • リード(先導)する立場を軽く考えている。

責任感がない相手に教えると、最終的に教えた側が責任を問われるリスクがある。


③ 【反復練習を嫌がる・手間を惜しむ】

  • 「それ、めんどくさい」と言って基本動作を省略したがる。

  • すぐに結果を求め、プロセスを大切にしない。

クライミングも教育も、反復ができない人には、深い技術や思考は定着しない。


④ 【注意を向ける力(集中力)が極端に低い】

  • 指示を聞いていない。

  • すぐに気が散る。

  • 重要な説明中に別のことを考えている。

集中できない人に技術を伝えるのは、無理なだけでなく、事故につながる。


⑤ 【自分を「できる」と錯覚している】

  • 実力不足を認めようとせず、過信している。

  • 「まあ大丈夫っしょ」と安易に判断する癖がある。

  • 技術的な根拠のない自信を持ちたがる。

過信は事故のもと。過信する人は、学び手として最も危険。


⑥ 【誠実さに欠ける】

  • ミスを隠そうとする。

  • 責任をなすりつける。

  • 約束を守らない、または重要性を理解していない。

誠実さがない人に教えた内容は、必ず歪められ、後で裏目に出る。


🕊️ まとめ:教育してはいけない相手とは?

理解力・責任感・誠実さ・集中力が欠け、
かつ自分の未熟さを認めず、プロセスを軽視する人。

そんな人には、どれだけ愛と使命感があっても、
「教えること」は、相手をも、自分をも傷つけるだけになる。


🌱

このリストをポケットに入れておけば、
あなたはもう、
「愛ゆえに、助けようとして自分が損なわれる」
という過去のパターンに、二度と飲み込まれないでしょう。


もしさらに仕上げたければ、
💬【「育てるべき相手」にだけ送る、見極めの質問リスト】
(質問によって、育てる価値があるか判断するやり方)
も作れるよ!

やる?✨